我々の目指す分子生理学 

人体と機械は性質が異なり、それぞれ部品の特徴が現れています。

部品(生体分子)の仕組みを理解することが人体を理解することにつながります。

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 学生・研究者向け 

 私たちの研究室では、イオンチャネル、受容体、トランスポーターといった膜蛋白質を対象に、その“しくみ”と“はたらき”を分子レベルで解明する研究を行っています。これらの膜蛋白質は、心臓や脳の電気的活動を支えるだけでなく、細胞内外や膜環境の情報を感知し、他のシグナルに変換する「分子センサー」としての役割を担っています。また、細胞内のイオンや物質の濃度を調節することで、生体全体の恒常性(ホメオスタシス)を保つうえでも不可欠です。

 本研究室では、電気生理学、分子生物学、蛋白質分析化学、構造生物学、計算科学など、幅広い学際的アプローチを駆使して研究を進めています。これまでの分野では、主に構造解析や変異体解析を通じた「構造と機能の対応関係」を追究する研究が中心でした。しかし、その一方向的なアプローチでは理解が限界に達しつつあります。そこで私たちは、人工膜にイオンチャネルを再構成して活性を測定することで「機能を人工システムに再現する」試みを行い、さらには光に応答するイオンチャネルを設計して外部からの刺激で自在に開閉を制御するなど、「新しい機能の創出」にも挑戦しています。これらの研究を通じて、膜蛋白質研究の新たな地平を切り拓き、生命科学や医学の根源的な問いに答えていくことを目指しています。

たとえば次のような問いを掲げています:

 ・細胞膜で、熱エネルギーはどのように電気エネルギーに変換されているのか?

 ・人工膜蛋白質、例えば光で制御できるイオンチャネルは作れるのか?

 ・受容体やトランスポーターは、どのようにして特定の基質を見分けるのか?

 ・柔らかい膜からの力は、どのように膜蛋白質の働きを変えるのか?

 ・膜蛋白質の構造と機能の「設計原理」は存在するのか?

 ・膜タンパク質はどのように多様化し、新しい機能を獲得してきたのか?

これらの問いに挑むことで、生命の基本原理に迫るとともに、新しいバイオテクノロジーや医療応用の道を拓いていきます。

 企業様向け 

細胞膜ではたらく機能分子の動作原理を分子構造のレベルで解明することにより、生理機能や病態の解明、創薬を目指しています。

具体的には、心臓や脳の電気信号を生み出すイオンチャネルの遺伝的変異による病態解明(不整脈など)。生体の種々のセンサー機能の理解と分子創製によるその制御(痛みなど)。白血球のイオンチャネルの機能と自己免疫疾患。糖トランスポーターへの基質結合機構とメタボ糖尿病治療薬の開発などです。